いすみ鉄道 第二五之町踏切

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普通列車に乗って旅をするのは楽しい。

いつだったかフランスのパリからイタリアのミラノまで普通列車に乗った事があった。

列車の席も車両の前後に長いタイプではなく、四人がけの二人ずつ向きあう形のものなので、自然に隣近所の人たちと交流が始まる。これから花市場に行くおばちゃんや、馴染みのお得意先をめぐる行商の大きな荷物をもったおばちゃんたち。この時周りを見渡すと不思議とおばちゃんばかりだった。

特急であっという間に目的地に着くわけではないので、一駅ごとにおばちゃんたちと仲良くなり、互いの四方山話に花が咲き、お昼を過ぎた頃にはみんなからお弁当を少しずつ分けてもらったりする。そのお弁当、おにぎりとか玉子焼きではもちろんなくて、手作りの鳥のパテや出掛けに焼いたばかりというとても硬いパン、これまた手作りのチーズや保存のための灰が付いたソーセージに不揃いのみずみずしい果物たち。それらをちょっとずつ新聞紙やなんかの箱の上に乗せてもらって食べさせてもらった。どれもこれも普段口にしているものとは違い、味が濃くて美味しかったのが思い出に残っている。

そして不思議だったのはフランスからイタリアに入った時、光が全然違って見えたのだ。パリのなんとなくどんよりとアンニュイな気持ちになる光が国境を超えた途端、いきなり極彩色の派手な光になったように感じた。自分のような部外者にはこの光の違いに両方の国民性の違いを感じた気がした。

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いすみ鉄道のいすみ線はJR外房線の大原駅から上総中野まで、そこで小湊鉄道線と接続して今度はJR内房線の五井まで接続し、いすみ鉄道と小湊鉄道で房総半島を横断する形になる。

房総半島は三方を海に囲まれているが、この2つの鉄道に乗って半島の平野部から山あいの風景を楽しみ、駅舎や車両の雰囲気の中、2つの路線とも地元の方々の日常の足として活躍しているので、異邦人気分で乗っていても折にふれて地元の方々との交流がとても楽しい。

特に朝方、五井駅で手作りのお弁当とお茶を買い、通勤や通学の乗客に混ざって途中下車を繰り返し、大原まで乗り継いでいくのは、非日常のと日常の狭間を行き来しているみたいで、同じ房総とはいえ、上総中野を超える辺りで光ががらっと変わるので内房と外房の雰囲気、東京湾と太平洋の波の違いを肌で感じる小旅行を楽しめた。

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この第二五之町踏切はいすみ鉄道の路線の中でも大変人気のあるポイントだと、いすみ鉄道の広報の方から教えていただいた。春、菜の花や桜が咲く季節はもちろんだけど、夏の夕暮れ、冬の早朝、まれに雪の降った時などは、いすみ鉄道ファンや鉄道写真を撮るのが好きな方たちで賑わうという。

当日は生憎の雨だったけれど、この踏切のそばで通過する列車を待っている時、その人気の端に触れることができた気がする。






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